あたりは既に暗い。いよいよパネルをタワーの頂上に乗せれば設置作業は終る。金属同士がぶつかるキーンという音が夜の住宅街に響いて気が引ける。早く終らせなければ。老夫婦が通りかかり、我々の作業を見上げて首をかしげている。頼む、質問しないでください！

パネルの設置にはてこずった。１０キロもある物をシロウトが高所で扱うのは難しい。ようやく定位置にパネルが収まろうとした時、イヤーな予感が胸をよぎった。

短い・・ああ、短い・・・。パネルを固定するパイプの長さが短く、固定具がうまく働かない。何と言うことだ。パイプカットのオジサンのせいだ。と一応人のせいにしてみるが、実は私の設計ミスである。

こんな夜じゃ資材屋さんも開いてない・・・

夜空をバックに作業するシルエットは、遠い古代の神殿建設を思わせるようで美しかったのだ。大きなパネルを大人三人が後生大事に担ぎ上げる姿はめったに見られるもんじゃない。きっと設置が終ったら近所のオバチャンたちに質問攻めに合うだろう。それまでに上手な説明の仕方を考えておこう。

さて、本日の作業は終了だ。明日の炎天下の作業に備えて、解散。